イワナ

イワナはサケ目サケ科イワナ属に分類される淡水魚だ。日本各地の渓流、特に水温の低い源流域に生息しており、「渓流の王様」とも呼ばれる。その体色は褐色から灰色で、背中から側面にかけて白い斑点が散らばっているのが特徴である。地域によって様々な体色や斑紋が見られ、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギ、アメマスといった亜種が存在するとされている。
イワナは非常に貪欲な肉食性で、水生昆虫や小魚のほか、カエルやサンショウウオ、時にはネズミやヘビまで捕食することが知られている。その一方で、警戒心が非常に強く臆病な一面も持っており、人の気配を感じるとすぐに岩陰などに隠れる習性がある。しかし、流れが速い場所でも大きな胸鰭を巧みに使い、体をくねらせて移動できる能力を持つため、他の魚が到達できないような源流の奥地まで生息域を広げることが可能だ。
産卵期は秋から初冬にかけてで、水温が下がる時期に、流れの緩やかな砂礫底に産卵床を作り卵を産み付ける。寿命は自然環境下で6年程度とされているが、人工的な飼育環境では30年近く生きることもあるようだ。
釣りにおいては、その警戒心の高さから、魚に姿を見られないように静かにアプローチする「ストーキング」が重要となる。また、イワナは冷水を好むため、夏の最高水温が13~15℃程度の河川最上流部が主な生息域だ。シーズン初期や活性の低い時期は、流れの緩やかな場所や岩の陰などを狙い、ゆっくりとエサを流すのが基本的な釣り方である。

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