サケ

サケ科の魚は、北半球の冷たくきれいな水域に広く生息しているグループだ。多くの種は、一生のうちに川と海を行き来する回遊性を持ち、生まれた川に戻って産卵する「母川回帰」という驚くべき生態で知られている。この回帰能力は非常に強く、時には支流まで正確にたどって遡上する。

サケ科魚類は、その体型が紡錘形で、背びれの後方に「脂びれ」と呼ばれる肉質の小さなひれを持つのが共通の特徴だ。この脂びれは、分類上の重要な目印となっている。また、多くのサケ科魚類の身がサーモンピンクと呼ばれる特有の色をしているのは、エサとして摂取するオキアミなどに含まれる色素によるものだ。養殖の場合、この色素を与えないと白身の魚になることもある。

種類は非常に多く、日本で見られるだけでもサケ(シロザケ)、カラフトマス、サクラマス、マスノスケ(キングサーモン)、ベニザケ、ギンザケ、ニジマス、ヤマメ、イワナ、イトウなどが挙げられる。同じ種でも、一生を淡水で過ごす「陸封型」と、海に下る「降海型」が存在することがあり、例えばヤマメとサクラマスは同じ種だが、降海するかしないかで呼び名が変わる。

サケ科魚は、食用としても非常に重要で、世界中で高級食材として扱われている。また、その力強い引きと美しい姿から、スポーツフィッシングの対象としても高い人気を誇る。しかし、河川改修や水質汚染、気候変動などによって生息環境が脅かされている種も多く、その保全が重要な課題となっている。

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