多摩川の源流は、山梨県甲州市塩山にある笠取山(かさとりやま)だ。標高1,953mの山頂直下にある「水干(みずひ)」と呼ばれる場所が、多摩川の最初の一滴が生まれる場所とされている。「水干」とは、沢が山の斜面を登り詰めて水が枯れる場所を意味する言葉だ。
この源流から流れ出した水は、一之瀬川となり、その後、丹波川と名前を変えて東へと流れ、奥多摩湖(小河内ダムのダム湖)に注ぎ込む。奥多摩湖より下流からが、一般的に多摩川と呼ばれる区間となる。
多摩川の源流一帯は、東京都民の重要な水源林として、東京都水道局によって長年にわたり管理されてきた歴史を持つ。明治時代に水源地の荒廃が懸念されたことから、東京都が山林を買収し、水源かん養林として整備を進めてきたのだ。そのため、現在では豊かな自然が広がり、ブナやミズナラ、カツラ、シオジなどの巨木が生い茂る原生林が残されている。全国的にも珍しいシオジの天然更新が見られる場所としても知られ、学術的にも注目されている地域だ。
源流部の山梨県小菅村や丹波山村は、「多摩源流」を村づくりのキーワードとしており、清らかな水と豊かな自然を活かした地域活性化に取り組んでいる。ハイキングコースも整備されており、「最初の一滴」に出会える場所として、多くの人が訪れる人気のスポットでもある。
多摩川源流
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