多摩川水系に属する養沢川は、東京都あきる野市を流れる秋川の支流であり、フライフィッシング愛好家にとって特別な意味を持つ場所だ。ここは「養沢毛鉤専用釣場」として知られ、日本におけるフライフィッシングの草分け的存在である。
その特徴は、約4kmにわたる自然渓流をそのまま利用した管理釣り場である点にある。一般的な管理釣り場のような人工的なプール形式とは異なり、渓相豊かな自然の中でヤマメ、イワナ、ニジマス、ブラウントラウトといった多様なトラウト類を狙うことができる。流れの緩やかな場所から、荒々しい早瀬、静かな山岳渓流のような雰囲気まで、様々な表情を持つ区間が存在し、それが釣り人を飽きさせない魅力となっている。
また、1955年にアメリカ人の法律家トーマス・レスター・ブレークモア氏がこの清流に惚れ込み、私財を投じて毛鉤専用の釣り場を開設したという歴史も持つ。彼の情熱が、今日の養沢川のフライフィッシング文化の礎を築いたと言えるだろう。都心からのアクセスも比較的良好でありながら、豊かな自然環境の中で本格的なフライフィッシングを楽しめるため、多くの釣り人にとって聖地のような存在となっている。

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