フローティングラインは、フライフィッシングにおいて水面に浮くように設計されたフライラインである。その名の通り、ラインそのものが水よりも比重が軽く作られており、キャストされた後も水面に留まる特性を持つ。これが、フライフィッシングの多くのスタイルで最も基本となるラインの種類である理由だ。
このラインの最大の利点は、ドライフライフィッシングにおいてその真価を発揮する点にある。水面に浮かせたドライフライを自然に流し、魚が水面を割って捕食する瞬間を視覚的に捉えることができるのは、フローティングラインならではの醍醐味である。また、ラインが水面に浮いていることで、リーダーやティペットを水中に送り込みやすく、フライをより自然にプレゼンテーションすることが可能になる。
素材は、中空構造を持たせたり、マイクロバルーンを練り込んだりすることで浮力を得ている。外側は滑りを良くするための特殊なコーティングが施されており、これによりスムーズなキャスティングと耐久性を実現している。ラインの色は、視認性を高めるために明るい色が使われることが多いが、魚に警戒心を与えにくいよう透明に近い色や、カモフラージュ性の高い色が採用されることもある。
フローティングラインは、水面でのアプローチだけでなく、ニンフフィッシングやウェットフライフィッシングにおいても、リーダーの角度を調整したり、ラインスラック（余分な弛み）を管理したりすることで、フライの動きをコントロールする上で重要な役割を果たす。
つまり、フローティングラインはフライフィッシングの多様な釣りを支える基盤であり、特に水面での繊細なアプローチにおいて、その浮力と操作性がアングラーの釣果に直結する、不可欠な存在なのである。
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