ウィングとは、毛鉤において昆虫の翅(はね)を模倣するために取り付けられるパーツ、あるいはその取り付けられた部分そのものを指す言葉だ。ドライフライでは水面に浮く昆虫の広げた翅を、ウェットフライでは水中で泳ぐ、あるいは流される昆虫の翅や、時には小魚のヒレなどを表現するために用いられる。
ウィングに使われる素材は多岐にわたる。ドライフライでは、主に鹿の毛や、カモの羽、合成繊維などが用いられ、これらを束ねて翅の形に整えたり、あるいは水中で空気を含んで浮力を助けたりする。ウェットフライでは、ターキーやキジの羽、リスの毛などが使われ、これらが水流を受けてゆらめくことで、生命感のある動きを演出するのだ。
フライにおけるウィングの役割は、単に昆虫の翅を再現するだけではない。ドライフライにおいては、浮力の補助や、水面に落ちた昆虫のシルエットの形成に大きく貢献する。また、釣り人にとっては、水面に浮かんだ毛鉤の視認性を高めるマーカーとしての役割も果たすことがある。一方、ウェットフライでは、水中で自然に漂う動きの表現が重要となる。ウィングの素材や形状、取り付け方によって、毛鉤が水中でどのような動きをし、どのように魚にアピールするかが大きく変わるため、フライタイイングにおいて非常に重要な要素の一つと言えるだろう。
ウィング / wing
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