トラウトとは、主に淡水に生息するサケ科の魚の総称である。英語で「トラウト」と呼ばれるが、日本語では一般に「鱒(ます)」と訳される。渓流や湖など、清らかな水を好むことで知られている。
代表的な種類には、ニジマス、イワナ、ヤマメなどがある。これらの魚は釣りの対象として非常に人気が高く、フライフィッシングのシンボル的存在でもある。特に、野生のトラウトは警戒心が強く、釣り上げるには技術と経験が求められる。
食用としても評価が高く、脂がのった身は刺身や塩焼き、ムニエルなどで美味とされる。養殖も盛んで、特にニジマスは広く商業的に飼育されている。
自然環境の変化や外来種の影響によって、野生のトラウトは数を減らしている地域もある。そのため、保護活動や放流事業も各地で行われている。
鱒と鮭は、どちらもサケ科に属する魚で、外見や生態に多くの共通点があるが、いくつかの明確な違いが存在する。
まず分類上、鮭は主に「サケ属(Oncorhynchus)」に含まれるが、鱒は「サケ属」と「イワナ属」「タイヘイヨウサケ属」など複数の属にまたがる場合がある。たとえば、シロザケやベニザケは鮭に分類され、ニジマスやヤマメは鱒に分類される。
生態にも違いがある。鮭は海で成長し、産卵のために川に戻る「降海型」が多いのに対し、鱒には海に下らず一生を淡水で過ごす「陸封型」が多く含まれる。ただし、鱒の中にも降海型の個体は存在するため、一概には区別しきれない。
体の大きさや色にも傾向がある。一般的に鮭は鱒よりも大きく、成熟時に体色が大きく変化する種類が多い。一方、鱒は比較的体が小さく、模様が残る場合が多い。
文化や地域によって呼び方が異なることもあり、同じ種であっても「鮭」と呼ばれたり「鱒」と呼ばれたりする例もある。たとえば、サクラマスの降海型は「サクラマス」と呼ばれるが、その陸封型は「ヤマメ」として扱われる。
総じて言えば、鮭と鱒は生物学的にも文化的にも密接に関係しつつ、それぞれに独自の特徴を持つ魚である。

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